ぼんやりと考えている人

ひろしまなおき (廣島直己)
名前: ひろしまなおき (廣島直己)
住処: シリコンバレー
職業: しがないプログラマ
家族: 愛妻一人、息子一人、娘一人
道具: ハーレー二台、ギター三本
電紙: n at h7a.org

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以前にぼんやりと考えたこと

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08 November '2003 - 23:08 | 雑記 選挙

おれはまだ土曜日だから明日だと思っていたけれど、そういえば、日本では今日が投票日だった。明日の朝、目が覚めたときに、いったいどんな結果になっているかすごく楽しみだ。 しかし、選挙のたびに、本当に情けなくなるのは、在外選挙だ。

日本人は、往々にして、自分個人に関係がないところで人の権利が脅かされることには何の問題もない人が多いし、日本に住んでいる人には関係がないことだから、在留邦人がどんな扱いを受けているかなど知る由もないだろう。

まず、ガイコクに住んでいる日本人には、比例区しか投票する方法が与えられていない。これは実際とんでもないことで、憲法違反は間違いないだろう。以前は、その比例区にさえ投票できなかったのだから、民主主義が聞いて呆れる。

そして、とっても笑えるのが、どうやって投票するかだ。

まず、在外選挙人証というものを予め取得しておく必要がある。これは、最後に住んでいたところの選挙管理委員会で発行してもらう。これは、ガイコクでの住所が変わるたびに再発行してもらう必要がある。

次に、その在外選挙人証を発行してもらった選挙管理委員会に、投票用紙等請求書とともに郵送して、投票用紙を受け取る。この投票用紙は、投票用紙を入れる内封筒と、内封筒を入れる外封筒と、外封筒を返信するための返信用封筒と一緒に送られてくる。

そして、投票用紙に政党名を書き、それを内封筒に入れ、それを外封筒に入れ、それを返信用封筒に入れ、日本に送るのだ。ご苦労なことだ。こんなに面倒なことをさせられて、それでも、比例区だけにしか投票できないのだ。

これは、いったいどういう目的のどういう仕打ちなのだろうか。ガイコク暮らしなんてしやがって、これでも食らえ、ってことなんだろうか。いやいや、日本ほど安全で素晴らしい国は、世界のどこを探してもないわけだから、そんな風に妬む日本人がいるわけがない。

では、税金も払ってないくせに、投票させてもらえるだけでもありがたいと思え、ってことなのだろうか。まさか、それはありえない。日本国憲法においても参政権は基本的人権だし。誰かに投票はさせてもらってるわけじゃないし。というわけで、与えられない理由が税金の支払いの有無に関係あるわけがない。

じゃ、いったいなんなんだろう。まったく理解できない。要するに法の運用なんて行政の恣意ってことなんだろうか。そうとしか理解できない。

いやいや、日本ほどの先進国でそんなことがあるはずがない。アメリカのように金持ちが意のままに得できる差別的な国などとは違って、日本は全てにおいて完全に平等な国なのだ。法は平等に適用されているのだ。

あ、そうか。立候補者が、投票者に直接働きかけることで、なんとか自分に投票させようと画策することさえ難しいようなガイコク暮らしの連中には、投票させたくないってことか。地元のために道を作っても、ガイコク暮らしのヤツはその恩恵が理解できないかも知れない。だいたいガイコクなんかに暮らしているのだから、そもそも、頭は悪いはずだ。ということは、どんなに頑張っても、もしかしたら自分には投票しないかも知れない。だったら、いっそ投票なんてさせない方がいい。そういうわけか。なるほど。いやはや、なんと言っていいか分からない。

まったく、なんでこんな迫害を受けているのかは全然理解できないが、とりあえず現状では、母国へのコミットメントとして、自分ができるもっとも重要な行動のひとつが投票であるのは間違いない。投票こそが、自分たちの社会を自分の信じる方向に変えていく、もっとも基本的な行動なのだし。また、たとえそれが不条理にも比例区に制限されているとしても、その権利を正当に行使することは、その当たり前であるはずの権利を、努力によって確保してくれた先人に対する感謝の意という意味でも当然のことだろう。

ちなみに、当然ながら投票用紙は投票日必着だから、投票用紙の請求は、少なくとも2週間前に始めなくては行けない。ほんと、ただ、ろくでもない政党に一票入れるだけなのに大変すぎ。

そして、請求と投票に合計一人30ドル以上かかるし、また、日本からの返信では、郵送代として税金が1200円も使われている。うちは夫婦で1万円近くが使われている計算になる。

こんな馬鹿げたことがまかり通り続ける国を、もう少しましな民主主義国に変えるには、やはり、こうやって地道に投票していくしかないのだから、むなしいといえばむなしいが、それでも、白紙投票や投票自体しないという行動を肯定するものは何もない、ということだけははっきりといいたい。

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