01 March '2007 - 19:11 | 英語 engine, engineer, engineering
最近、「エンジニアって?」というエントリを読んで、自分は他のエンジニアたちを無意味に傷つけていたのかも知れないなあとちょっと反省した。すると、タイミングいいことに「学校では教えてくれないエンジニアリング英語 #5: crufty, kludge, janky, ghetto」のコメント欄にも同じような批判を発見。傷つけたというのは表現がちょっとナイーブかも知れないけれど、せっかくなので大いに反省して書いておくことにした。
ていうか、たとえていうとどうなんだろう。
画家が大いにに発言権をもつメディアで、「アーティストにおすすめの筆」を画家が紹介しているの見てミュージシャンたちが苦虫をつぶしているとか、ギタリストが大いに発言権をもつメディアで「ミュージシャンたるもの 22フレット頼るなんて邪道」とか言っているのを見ているギタリスト以外の音楽家たちとか、そういう感じだろうか。違うか。
無自覚に傷つけている側なのでよく分からないけれど、やっぱり、気分いいものじゃないんだろうね。おまえらだけじゃないんだよ、エンジニアは!!! と。そらそうだ。
ネット界に跋扈するエンジニアの多くが IT 関連の Engineer なのだとしても宜なるかなだし、もちろん彼らがエンジニアリング全般について何かを言っている場合もあるのだろうけれどそうでない場合の方が圧倒的に多い気がするので、やはり、ギタリスト全盛時代にギタリストが「アーティストってえのは」って偉そうに言ってるような感じなのかなあ。偉そうに言っているつもりはない(だろう)けれど。
ちなみに、いち Software Engineer として言わせてもらうなら、それはいくらなんでもどうよ、てな言い草のものはほとんど見当たらないので、悪気は誰にもないとは思います。だからなんだと言われれば何でもありません、だけれど。まあ、無意識にただエンジニアと言ってるだけか、Software Engineer に限らない IT 関連のエンジニアを指しているのだろうと思う。どう読んでみても IT 以外のエンジニアに通じるような話は滅多にないので、Civil Engineer とか Mechanical Engineer が念頭にあることはまったくなさそう。まあ、いくら優秀なハッカーでもそんなぜんぜん違う仕事の人たちの事までは多くは語れないでしょう。
ていうか、なんで IT エンジニアって言わないのだろうか。よく分からない。そう言いさえすれば問題ない気がするのだけれど違うのだろうか。
ぼくはあんまり IT っていい方が好きじゃないし、そもそも Software Engineer 以外のことはよく分からないので、たんにプログラマとだけ言えばよさそう。いままでもそうしてきたつもりだけれど、今後は意識してそう書くように気をつけようと思う。
ところで、ぼくの仕事用の名刺には肩書きとして Software Engineer と書いてあるし、広義にはぼくはエンジニアと言ってもいいんだろうけれど、ぼくはプログラマという方が断然好きだ。
二 単語よりも一単語だし、何をしているか明快だし、自分 のことを説明する場合のほとんどの場合「ぼくはプログラマです」と必ず言う。実際、名刺を作るときも「肩書きは Programmer」にしてくれと頼んだ。さすがに却下されてしまったけれど。
ちなみに、ある種のエンジニアは勝手にその肩書きを名乗ることができない。その engineering degree も持ってる人だけがタイトルとして使える。つまり、engineer というのは明確にハクがある。Programmer は degree を想起させないが、Software Engineer はさせる、ということになる。だから Programmer というタイトルが却下されたんだろう。理屈としては。
関係ないけれど、engineer というのは engine を扱う人から来てるのだろうと勝手に思い込んでいたが、m-w.com を見たらどうやら間違ってなかったらしい。まあ、そらそうだろう。er つけただけだもんね。ただ、びっくりしたのは、その単語がいつから使われているかという年代。m-w.com によると、engineering は 1720年、engineer は 14世紀、engine 13世紀となっていた。もちろん、これはその時代にその単語が使われていたという証拠があったというものであって決して確定的な年代ではないけれど、とても興味深い。engineer から engineering までものすごく遠いというのもそうだし、engine がこんなに古い単語というのも面白い。engine という単語はそもそもレシプロエンジンとかから来てるわけじゃないんだなあと初めて知って感心しごく。それにしても、その単語の初出の年代がちゃんと分かるというのは凄い。日本語の辞書がそういうレベルに到達する日は果たして来るのだろうか。
それから、さらにどうでもいい話としては、エンジニアブーツというのがある。エンジニア用かと思いきや、これはバイカー用のブーツのこと。つま先とかかとのところにスティールが入っていて踏まれても大丈夫だし、マフラーでやけどする心配もない。バイク乗りなら誰でも持ってるかどうかは知らないけれど、ハーレー乗りなら持ってる人の方が圧倒的に多いのは間違いない。ぼくはハーレーに乗る時には必ずエンジニアブーツで乗るし、なんか、エンジニアを名乗ってもいいんじゃないかという気がしてきた。
最後に、さらにぜんぜん違う話なのだけれど、上の miyagawa さんのエントリでは、とくに kludge の発音について書いておくべきだったと思う。他の単語の発音は読んでそのままなのだけれど、kludge だけは違う。同僚の誰かが実際に発音するのを聞いてそれが kludge だと気づいたその瞬間まではクラッジと読むのだとぼくは勘違いしていたし、他にもクラッジって言ってるガイジンを過去に何人も見た。これはクルージと発音する。
使うのは負けなんだけれど、ちょくちょく使う orz 便利な単語なので、プログラマには必須の英単語。
ところでエンジニアブーツ、耐重量物とか耐電気とかで、Electrician には必須じゃないですかね。Electrician はエンジニアであるし、私も現場出が多いときは履いてますエンジニアブーツ。こっちでは「スティールトウ」って言ってます。日本では安全靴って呼んでました。ただ、アメリカ人の多くはバイク乗りなので、初出がどこだかは分かりません
さらにところで、kludge ですが miyagawa さんのところにも書いちゃいましたが、これってIT英語なんですかね。私が聞き取れていない可能性も高いのですが、はじめて知りました。私が良く使うのは(確かに使ったら負けなんですが)、stopgap とか Mickey Mouse solution とかです。
davilin (ウェブサイト) - 02 March '2007 - 06:46
kludge は IT の専門用語ではないですが、どうやら特定の業界でしか使われてないようです。まあ http://www.catb.org/~esr/jargon/html/K/k.. にもあるし、ハッカー用語なんだろうと思います。
ちなみにプログラマ英語としては、stopgap はまあ「あり」でしょうけれど、ぼくは見たことないですね。Mickey Mouse solution は使えない気がします。というのは、そのレベルだとチェックインが許されないと思うので
ひろしま - 02 March '2007 - 12:06
やっぱりその筋に精通しないと分からないことは多いものですね。ごめんなさい、勉強になりました。
それから、Kludgeは結構高レベルな「その場しのぎ」なんですね。Kludge > stopgap >>> Mickey な感じですかね。
davilin - 02 March '2007 - 14:09
ちなみに、kludge >> 越えられない壁 >> Mickey というのはあくまでもぼくの gut feeling です。同僚のひとりに聞いてみたら同意してくれたので、たぶん遠くはないんでしょうが、英語に関してはアメリカ人ほど当てにならないものはないので分かりません
ひろしま - 02 March '2007 - 14:45